KPI設計力
- 澤拓磨 TS&Co.代表取締役 兼 最高経営責任者(CEO)
- 7月21日
- 読了時間: 4分
概要
企業の方向性を社内外へ客観的に伝達したり、自社の方向性を管理するには、KGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)が欠かせない
KGIとは、売上高や各利益指標といった企業活動の最終結果を示す最終結果指標
KPIとは、KPIの実現がKGI実現に直結するKGIの先行指標
KGIだけの経営は、組織としての焦点が定まらず、戦略と行動を選択しづらく、選択した戦略・行動にも集中しづらい。これは、経営資源が有限である以上、最高のパフォーマンスを実現する上で致命的
理想の企業像から逆算したKPI設計は、①自社の強みの特定、②強みを最大限活かした理想の企業像の構想、③理想の企業像を実現するためのKPI特定、④KPIの優先順位と時間軸に応じた目標値の設定、⑤KPIを実現するための戦略構想を通じたKPI検証のプロセスを経る。世に存在する既製品ではなく、0ベースで理想の企業像を実現するためのKPIを特定することが重要
KGIだけの経営は戦略と行動を選択・集中しづらい
企業の方向性を社内外へ客観的に伝達したり、自社の方向性を管理するには、KGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)が欠かせない。
KGIとは、売上高や各利益指標といった企業活動の最終結果を示す最終結果指標。
KPIとは、KPIの実現がKGI実現に直結するKGIの先行指標だ。例えばTS&Co.グループであれば、理想の企業像である経営変革グループとしての使命(世界平和・幸せ・繁栄を実現するため、経営変革を通じて責任を果たし、現在・未来世代に希望を与え続ける)実現度の伝達・管理とKGIの先行指標機能を内包した8つのKPI(グループ事業/事業、グループ展開国/ヵ国、経営変革支援額/円、経営変革支援数/件、TS&Co.経営変革研究所/論考、経営変革プロフェッショナルCEO輩出数/人、グループ経営変革/回、グループ業歴/期)を設計している。
しかしながら、最適なKGIとKPIを設計するのは容易ではない。
中小企業の多くは、KGIだけの経営であろう。
KGIだけの経営は、組織としての焦点が定まらず、戦略と行動を選択しづらく、選択した戦略・行動にも集中しづらい。
これは、経営資源が有限である以上、最高のパフォーマンスを実現する上で致命的だ。
では、どうすれば最適なKPIを設計できるだろうか。著者は、理想の企業像から逆算したKPI設計を推奨したい。
理想の企業像から逆算したKPI設計法
理想の企業像から逆算したKPI設計法は、以下のプロセスを経る。
1.自社の強みの特定
何もないところから理想の企業像を構想することも可能だが、それではなぜ自社が当該理想の企業像を理想とするのか、本当に当該理想の企業像を実現するために高い実行力、継続的な実行力を発揮できるのか疑問が残る。
強みを活かせる理想の企業像であれば、こうした疑問を払拭できるため、理想の企業像を構想する前提として自社の強みを特定する必要がある。
2.強みを最大限活かした理想の企業像の構想
特定された強みを「最大限活かした」理想の企業像であることが鍵となる。なぜなら、それに伴い、理想の企業像への確信が強まり実行力を最大化できるためだ。
3.理想の企業像を実現するためのKPI特定
多くの場合、理想の企業像は自社独自のものであり、KPIもまた自社独自のものとなる。世に存在する既製品ではなく、0ベースで理想の企業像を実現するためのKPIを特定することが重要だ。他社の真似をしていては、余程似た企業像を理想としていない限り、自社独自の理想の企業像を実現することはできない。
4.KPIの優先順位と時間軸に応じた目標値の設定
理想の企業像を実現するために特定されたKPIには、優先順位づけと時間軸に応じた目標値の設定が必要となる。KPIマネジメントの効果を最大化するために、非常に重要なプロセスだ。
5.KPIを実現するための戦略構想を通じたKPI検証
最適なKPI、その優先順位と時間軸に応じた目標値が設計されたのであれば、自ずとKPIを実現するための戦略が思い浮かぶはずだ。
もし、KPI設計後に、KPIを実現するための戦略がすぐに思い浮かばないのであれば、誤ったKPIを設計していると言えるだろう。
もし読者が、KGIだけの経営に問題意識をお持ちの場合、本論考を参考に最適なKPIを設計され、方向性の社内外への客観的伝達と自社の方向性管理が実現されることを切に願っている。
著者
澤 拓磨(さわ たくま)
TS&Co.グループホールディングス株式会社 代表取締役 CEO創業者
経営変革プロフェッショナル
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