CEOの究極の決断「時間配分」
- 澤拓磨 TS&Co.代表取締役 兼 最高経営責任者(CEO)
- 4月22日
- 読了時間: 4分
更新日:5月9日
概要
CEOが経営の最終結果責任を享受し約束した結果を出し続けるための出発点は、時間配分
企業経営では、常に無数の潜在的・顕在的な課題が存在するが、CEOの時間配分如何で、そうした課題を発見しその中のどの課題を解決していくかが決まる。その意味で、時間配分はCEOにとって究極の決断と言える
平時におけるCEOの時間戦略は、リーダーシップ(90%)、自己管理(10%)。前者は、超短期のリーダーシップ(60%)、短期のリーダーシップ(15%)、中期のリーダーシップ(10%)、長期のリーダーシップ(4%)、超長期のリーダーシップ(1%)。後者は、世界観の更新(8%)、自分観・自社観の更新(2%)が良い
最適な時間戦略は、CEOが置かれた外部環境やCEOの特性次第で異なるが、もし読者が時間配分を再考されるのであれば、本論考で述べた平時におけるCEOの時間戦略が幾ばくかお役に立てると確信している
時間配分はCEOにとって究極の決断
CEOが経営の最終結果責任を享受し約束した結果を出し続けるための出発点は、時間配分だ。
時間(変化を認識する概念)は、駆け出しのCEOから世界のトップに君臨する百戦錬磨のCEOまで等しく与えられた経営資本であり、自社と競合においても同様だ。
ところが、自社と競合に与えられた時間が等しく、仮に活用可能な経営資本も同じであったとしても、大抵の場合、一定の時間を経て両社を比較すると結果(パフォーマンス)に差が生じる。
企業経営では、常に無数の潜在的・顕在的な課題が存在するが、CEOの時間配分如何で、そうした課題を発見しその中のどの課題を解決していくかが決まる。
その意味で、時間配分はCEOにとって究極の決断と言えるだろう。
では、どのような考え方のもと、時間配分を決断すれば良いか?
平時におけるCEOの時間戦略についてTS&Co.の考えを紹介したい。
平時におけるCEOの時間戦略
TS&Co.は、以下が平時におけるCEOの最適な時間配分だと考えている。
リーダーシップ(90%)
超短期のリーダーシップ(60%):今この瞬間・今日・今週のパフォーマンス最大化を企図
短期のリーダーシップ(15%):~1年のパフォーマンス最大化を企図
中期のリーダーシップ(10%):1~5年のパフォーマンス最大化を企図
長期のリーダーシップ(4%):6~10年のパフォーマンス最大化を企図
超長期のリーダーシップ(1%):10年超のパフォーマンス最大化を企図
自己管理(10%)
世界観の更新(8%):世界情勢及び世界シナリオの構想
自分観・自社観の更新(2%):世界に自分・自社を最適化するための計画を立案
上記が平時におけるCEOの最適な時間配分だと考える理由は以下の通りだ。
CEOとは、経営の最終結果責任を享受し、約束した結果を出し続ける人だ
そして、CEOたる者、最高のパフォーマンスを実現すべきである
最高のパフォーマンスを実現するには、有限な時間資本を最も有効に活用しなければならない
有限な時間の最も有効な活用法は、そもそも経営とは何か?を問うことからはじまる
経営とは結果を出し続ける行動であり、結果には必ず原因がある。CEOが創出する原因の本質はリーダーシップであり、超短期のリーダーシップの連鎖が未来の結果を形作ることから超短期のリーダーシップが最優先、次いで短期・中期・長期・超長期のリーダーシップと続く
しかしながら、リーダーシップは正しい方向性へ発揮されなければ誤った結果を招くこととなるため、自己管理の時間を確保する必要がある
世界のために自分・自社があり、自分・自社のために世界がある訳ではないこと、世界よりも自分・自社の更新幅や更新頻度は低いことから、世界観の更新に自分観・自社観よりも多くの時間を配分すべきである
こうした前提のもと、CEOの100%の時間を各活動へ割り振った結果、上記が平時におけるCEOの最適な時間配分だと考えた
尚、例えば、人類を脅かすメガ天変地異と対峙している有事においてはCEOは緊急性の高い活動に集中的に時間配分すべきである等、平時における時間配分とは大きく異なる点も申し添えておきたい。
また、上記はあくまでCEO業のオンタイムの時間戦略である。
実際は、これに加えて、オフタイム(私生活)の時間戦略(家族との時間、適切な睡眠時間、趣味の時間等)も最適化していく必要があるが、本論考では便宜上オンタイムの時間戦略の紹介にとどめた。
CEOの究極の決断である時間配分は、CEOが約束した結果を出し続けることができるかを決める。
最適な時間戦略は、CEOが置かれた外部環境やCEOの特性次第で異なるだろう。
しかしながら、もし読者が時間配分を再考されるのであれば、本論考で述べた平時の時間戦略が幾ばくかお役に立てると確信している。
著者
澤 拓磨(さわ たくま)
TS&Co.グループホールディングス株式会社 代表取締役 創業者CEO
TS&Co.株式会社 代表取締役
経営変革プロフェッショナル
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