経営力と経営変革力
- 澤拓磨 TS&Co.代表取締役 兼 最高経営責任者(CEO)
- 5月23日
- 読了時間: 4分
更新日:5月24日
概要
CEO(最高経営責任者)が職務を全うするためには、高い水準の経営力(結果を出し続ける力)と経営変革力(経営を変え異次元の結果を実現する力)が求められる
経営力と経営変革力の本質的な違いは、「経営力は"生産性向上"を通じて短期的な結果を最大化することに主眼を置いている一方で、経営変革力は"新しい経営を創造し経営を変えること"を通じて短中長期的な結果を最大化することに主眼を置いている」こと
CEOの経営力と経営変革力への意識と時間配分は、「経営力に最多4割、経営変革力に最少6割」が最適な割合
経営力の高め方の本質は「実戦量」、経営変革力の高め方の本質は「思考量」。経営力と経営変革力を高めるには、本質をおさえることが重要
経営力と経営変革力の本質的な違い
CEOが職務を全うするためには、高い水準の経営力と経営変革力が求められる。
しかしながら、経営力と経営変革力の違いを理解し、意識的に使い分けできているCEOはそう多くないだろう。
そこで論考では、まずはじめに、経営力と経営変革力の本質的な違いを整理したい。
結論から述べると、経営力と経営変革力の本質的な違いは、「経営力は"生産性向上"を通じて短期的な結果を最大化することに主眼を置いている一方で、経営変革力は"新しい経営を創造し経営を変えること"を通じて短中長期的な結果を最大化することに主眼を置いている」ことだ。
その他、経営力と経営変革力には、以下のような違いがあるとTS&Co.は考えている。
経営力:結果を出し続ける力。基本、既存の延長、必然性、生産・保守的、短期的結果を注視
経営変革力:経営を変え異次元の結果を実現する力。応用、既存の非延長、蓋然性、創造・変革的、短中長期的結果を注視
CEOが職務を全うするためには、高い水準の経営力と経営変革力が求められる。
もし読者が、経営力と経営変革力を活かしより高いパフォーマンスを実現したいとお考えの場合は、是非本論考を参考にして頂きたい。
CEOは経営力と経営変革力をどのような割合で意識し時間配分すべきか?
TS&Co.は、「経営力に最多4割、経営変革力に最少6割」が最適な割合だと考えている。
既に確立された経営を前提に短期的な結果を出すことを求められる経営力よりも、既存の経営を変え異次元の結果を実現しなければならない経営変革力の方が難易度が高く、社の命運を左右しかねないことから、CEOにとって権限移譲しにくいためだ。
中長期の時を経て、同時期に類似事業を開始した複数社に彼我の差が生じる主因は間違いなくCEOの実力差に因るが、取り分け、経営力と経営変革力をどのような割合で意識し時間配分すべきかの判断が明暗を分けているとTS&Co.は考えている。
しかしながら、そうは言っても、CEO毎に得手不得手があるはずだ。そこで最後に、経営力と経営変革力の高め方の本質について紹介しよう。
経営力と経営変革力の高め方の本質
TS&Co.は、経営力は「実戦量」、経営変革力は「思考量」が経営力と経営変革力の高め方の本質だと考えている。
著者も日々実戦を通じて体感しているが、経営結果を出すための活動は、極めて人間的・動的・運動的・習慣的である。そして、そうであるが故にスポーツ同様、教科書や技術書が果たす役割は極めて少ない。経営力を高めようと思えば、実戦に勝る上達法はない。
一方、経営変革力は実戦を通じて高めることは難しい。日々短期的な、目の前の結果に追われる実戦において、少なくとも短期的な結果への貢献が不透明な経営変革力を高めている余裕などないのだ。経営変革力を高めるには、実戦から付かず離れずの立ち位置で、思考し続ける必要がある。
著者の経験では、内省的に徹底的に思考した後に外部情報(競合情報・他業界情報・偉人情報等)に触れることで、自社との違いや自社のらしさ・ならではに関する気づきを得られたことで思考が深まり、経営のうち何を変えるべきかが定まることが多かった。
経営力と経営変革力を高めるには、本質をおさえることが重要だ。
CEOが職務を全うするためには、高い水準の経営力と経営変革力が求められる。
もし読者が、経営力と経営変革力を活かしより高いパフォーマンスを実現したいとお考えの場合は、是非本論考を参考にして頂きたい。
著者
澤 拓磨(さわ たくま)
TS&Co.グループホールディングス株式会社 代表取締役 CEO創業者
経営変革プロフェッショナル
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