柔なき経営に強さなどない
- 澤拓磨 TS&Co.代表取締役 兼 最高経営責任者(CEO)
- 7月13日
- 読了時間: 4分
更新日:7月14日
概要
剛の経営とは、「世界情勢に最適化するのではなく、自社の強みに基づき方向性を定め未来を拓いていく経営」。強みの普遍性が高く強力であればあるほど、拓ける未来の幅は広がり拓くスピード・量が増す。従って、自社の強みに自信があるプレイヤーは、剛の経営に偏る傾向がある
強みと弱みは表裏一体であり、それが剛の経営の限界を規定する。剛の経営は、そうした弱さを持つ経営。すなわち、柔なき経営に強さなどない。そこで必要となるのが、柔剛一体の経営
柔剛一体の経営とは、「世界情勢に目を光らせ環境変化に最適化された強烈なリーダーシップとフォロワーシップを通じて結果を出し続ける経営」
両者を単に備えているのではなく、両者が一体となっているが故に、最適なリーダーシップとフォロワーシップを発揮でき、結果を出し続けられる
柔剛一体の経営におけるCEOの役割は、①世界情勢と自社の経営を一体として認識し続ける、②変えるべきことを即変更し変えてはならないことを死守する、③リーダーシップ。柔剛一体の経営においても、CEOに求められる最も重要な役割はリーダーシップに他ならない
柔なき経営に強さなどない。柔剛一体の経営が経営の基本
剛の経営の限界
剛の経営とは、「世界情勢に最適化するのではなく、自社の強みに基づき方向性を定め未来を拓いていく経営」だ。
強みの普遍性が高く強力であればあるほど、拓ける未来の幅は広がり拓くスピード・量が増す。従って、自社の強みに自信があるプレイヤーは、剛の経営に偏る傾向がある。
しかしながら、剛の経営には限界がある。
例えば、顧客に自社の商品をご購入頂く場合、いくら自社が強力な強み(例えば、誰もが美味しいと絶賛する甘いプリンの専業)を持っていたとしても、そもそもプリンを食べたくない、甘いもの・糖質を制限している顧客からすると、強みは弱みとなり、顧客から選ばれることはない。
また、世界情勢と強みに時代と共にズレが生じてきた場合、自社の経営が立ち行かなくなることもあるだろう。
多くの場合、強みと弱みは表裏一体であり、それが剛の経営の限界を規定する。剛の経営は、そうした弱さを持つ経営だ。
すなわち、柔なき経営に強さなどないのである。
そこで必要となるのが、柔剛一体の経営だ。
柔剛一体の経営
柔剛一体の経営とは、「世界情勢に目を光らせ環境変化に最適化された強烈なリーダーシップとフォロワーシップを通じて結果を出し続ける経営」だ。
両者を単に備えているのではなく、両者が一体となっているが故に、最適なリーダーシップとフォロワーシップを発揮でき、結果を出し続けられるのである。文章化すると極めて当たり前のことと思われるかも知れないが、実践は容易ではない。
では、柔剛一体の経営におけるCEOの役割はなんだろうか。以下3つの役割が特に重要だと著者は考えている。
1.世界情勢と自社の経営を一体として認識し続ける
世界はいつまでに・どこに向かおうとしており、そのために今何をしているか。
それに対して、自社はどのような理想を掲げ、どのような戦略を実行しており、どのような結果を出すことが予見されるだろうか等について認識し続ける。
2.変えるべきことを即変更し変えてはならないことを死守する
世界が如何に変化しようとも、自社にとって変えてはならないことがある。
従って、変えるべきこと(顧客需要に最適化された製品設計、顧客行動の変化に対応したチャネル設計、働き方の柔軟性等)と変えてはならないこと(持ち味とらしさ・ならでは、企業文化等)を峻別し、前者は即変更、後者は死守する。
3.リーダーシップ
柔剛一体の経営においても、CEOに求められる最も重要な役割はリーダーシップに他ならない。
結局のところ、CEOがCEOである限り(経営執行の最高責任者としての狭義のCEOであるならば尚更)、リーダーシップ(リードする力)を常に期待され続ける。
柔なき経営に強さなどない。柔剛一体の経営が経営の基本だろう。
もし読者が、剛の経営に限界を感じ、柔の視点を経営に取り入れたいとお考えになられているのであれば、本論考で紹介した柔剛一体の経営及び柔剛一体の経営におけるCEOの役割を参考にされてみては如何だろうか。
著者
澤 拓磨(さわ たくま)
TS&Co.グループホールディングス株式会社 代表取締役 CEO創業者
経営変革プロフェッショナル
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